初めての産後、実家・義実家との関係性:サポートの頼み方とコミュニケーションのヒント
初めて赤ちゃんを迎えるにあたり、特に産後の生活について、漠然とした不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。体力的にも精神的にも大きな変化がある産褥期(さんじょくき)をどう過ごすか、実家や義実家のサポートをどう受け、どのように関係性を築いていけば良いのか、迷いや戸惑いがあるのは自然なことです。
この時期は、赤ちゃんのお世話に加えて、ご自身の体の回復や夫婦の新しい関係性の構築など、さまざまな変化が同時に起こります。そのような中で、実家や義実家といった周囲のサポートは、心強い支えとなり得ます。一方で、価値観の違いからくる摩擦や、遠慮からくるすれ違いといった難しさを感じることもあるかもしれません。
この記事では、初めての産後を安心して過ごすために、実家や義実家との関係性をどのように考え、サポートを円滑に受け入れるためのコミュニケーションのヒントをご紹介します。
なぜ産後に実家・義実家との関係性が大切になるのか
産後の回復には時間がかかり、赤ちゃんのお世話は24時間体制です。睡眠不足や疲労が蓄積しやすい時期に、家事や上の子のお世話(もしいる場合)、あるいは赤ちゃんに関するちょっとした相談に乗ってもらえるだけでも、心身の負担は大きく軽減されます。
実家や義実家は、多くの場合、最も身近で頼りやすい存在です。彼らのサポートを上手に活用することで、初めての育児に対する不安を和らげ、少しでも心穏やかに過ごすことができるようになります。また、両親や祖父母にとっても、新しい家族である赤ちゃんとの関わりは大きな喜びであり、家族全体の絆を深める機会にもなります。
産後サポートを検討する際の考え方
実家や義実家にサポートをお願いするかどうか、お願いする場合にどのような形をとるかは、ご夫婦で十分に話し合って決めることが大切です。主に以下の選択肢が考えられます。
- 里帰り出産: 出産前から実家に滞在し、産後も一定期間実家で過ごす方法です。実家の両親の手厚いサポートを受けやすいのがメリットですが、夫が離れて過ごすことになったり、実家の生活リズムに合わせる必要があったりします。
- 自宅でサポートを受ける: 夫の仕事や上の子の関係で自宅を離れられない場合、実家や義実家のご家族に自宅に来てもらい、サポートを受ける方法です。住み慣れた環境で過ごせるメリットがありますが、来てもらう側の受け入れ準備が必要になります。
- デイサービスや短期間の滞在: 毎日来てもらうのではなく、特定の時間だけ来てもらう、あるいは週末だけ泊まりに来てもらうなど、期間や頻度を限定する方法です。
どの方法を選ぶにしても、無理のない範囲で、ご夫婦双方にとって最善の選択となるように検討しましょう。
サポートをお願いする際のコミュニケーションのヒント
サポートをスムーズにお願いし、お互いが気持ちよく過ごすためには、事前の準備とコミュニケーションが鍵となります。
事前に具体的に話し合う
産後、どのようなサポートが必要になりそうか、具体的な内容を事前に伝えておくことが重要です。
- 来てほしい時期と期間: いつからいつまで来てもらえると助かるかを明確に伝えます。
- お願いしたいこと: 食事の準備、洗濯、掃除、上の子のお世話、買い物、赤ちゃんのお風呂入れの補助など、具体的に何を手伝ってほしいかを伝えます。
- 赤ちゃんのお世話について: 今後、夫婦でどのように育てていきたいと考えているか(例えば、母乳かミルクか、特定の抱っこひもを使いたいなど)、基本的な考え方を共有しておくと、お世話の際に戸惑いが少なくなります。
あいまいなままスタートすると、「手伝ってほしいと思っていたことをしてもらえなかった」「良かれと思ってやったことが、かえって負担になった」といったすれ違いが生じやすくなります。事前に「〇〇を△△してもらえると本当に助かります」のように具体的に伝えてみましょう。
感謝の気持ちを伝える
サポートしてくれることへの感謝の気持ちは、言葉にして伝えることが大切です。「ありがとう」「助かります」といった一言が、お互いの関係を良好に保ちます。小さなことでも感謝を伝えることで、頼む側も頼まれる側も気持ちよく過ごせるでしょう。
サポートを受ける上での注意点
実家や義実家のご家族は、良かれと思って行動してくださることがほとんどです。しかし、育児に関する考え方や生活習慣が異なる場合もあります。
- 価値観の違い: ご自身の親やパートナーの親世代と、現在の育児情報や考え方には違いがある場合があります。全てを受け入れる必要はありませんが、頭ごなしに否定するのではなく、「今はこういうやり方があるようです」「私たちはこのように考えています」と穏やかに伝えることを心がけましょう。
- 境界線を引く勇気: 何でもかんでも頼りすぎたり、逆に遠慮しすぎたりするのではなく、ご夫婦のペースや考え方を大切にするための境界線も必要になることがあります。頼みにくいことや、今は自分たちでやりたいことについては、感謝を伝えつつも、「ここまでは自分たちでやってみます」「また改めてお願いするかもしれません」のように、丁寧に伝えましょう。
- 夫婦間での共通認識: 実家や義実家との関係性やサポートについて、夫婦間で事前にしっかりと話し合い、共通の認識を持っておくことが非常に重要です。何か問題が生じた場合にも、夫婦で連携して対応することで、お互いの負担を軽減し、実家や義実家との間に立つパートナーを孤立させないようにしましょう。
サポートを頼まない場合の選択肢
里帰りや自宅でのサポートが難しい場合でも、利用できるサービスはあります。
- 産後ケアサービス: 助産師さんやヘルパーさんが自宅を訪問して、授乳指導や赤ちゃんのお世話、母親の体のケア、家事などをサポートしてくれるサービスです。自治体が補助を行っている場合もあります。
- 自治体の育児支援サービス: 多くの自治体で、産後のホームヘルパー派遣や子育てに関する相談窓口を設けています。お住まいの地域の情報をご確認ください。
これらのサービスも活用することで、無理なく産後を過ごすためのサポートを得ることができます。
最後に
初めての育児は、分からないことだらけで不安を感じることもあるでしょう。特に産後は、心身ともにデリケートな時期です。実家や義実家との関係性も、サポートを受けたり、時には価値観の違いに悩んだりしながら、少しずつ築かれていくものです。
完璧を目指す必要はありません。大切なのは、一人で抱え込まず、ご夫婦で協力し、そして周囲のサポートも上手に活用することです。今回ご紹介したヒントが、実家や義実家との関係性を良好に保ちながら、安心して産後を過ごすための一助となれば幸いです。