初めての赤ちゃんの予防接種、知っておきたい種類とスケジュール、受け方
はじめに：初めての予防接種への準備
赤ちゃんを授かり、待ち望む日々の中で、出産後の具体的な生活について考えることも増えてくるかと思います。その中でも、多くの親御さんが「いつから始まるのだろう」「どんな種類があるのだろう」と気にかけることの一つに、予防接種があるかもしれません。
予防接種は、赤ちゃんを感染症から守るための大切なステップです。しかし、初めて経験する中で、情報の多さに戸惑ったり、スケジュール管理に不安を感じたりすることも自然なことです。
この記事では、初めてパパ・ママになるお二人に向けて、赤ちゃんの予防接種に関する基本的な知識を分かりやすく解説します。予防接種の種類や一般的なスケジュール、接種を受けるまでの流れを知ることで、少しでも安心して準備を進めるお手伝いができれば幸いです。
なぜ予防接種が必要なのでしょうか？
予防接種は、特定の感染症に対する免疫を赤ちゃんにつけることで、病気にかかりにくくしたり、もし病気にかかっても重症化を防いだりすることを目的としています。
生まれたばかりの赤ちゃんは、お母さんからもらった免疫（移行抗体）を持っていますが、これは一時的なもので、生後数ヶ月で徐々に失われていきます。そのため、赤ちゃん自身の力で病気と戦う免疫をしっかりと育てていくことが重要になります。予防接種は、その免疫をつけるための有効な手段なのです。
予防接種の種類：定期接種と任意接種
予防接種には大きく分けて二つの種類があります。
- 定期接種： 予防接種法に基づいて、市区町村が主体となって実施している予防接種です。対象となる病気や接種期間が定められており、原則として公費（無料）で受けることができます。赤ちゃんが受ける多くの予防接種がこれにあたります。
- 任意接種： 予防接種法には基づいていませんが、感染症の流行状況や個人の判断に基づいて受けることができる予防接種です。費用は原則として自己負担となります。
どちらの予防接種も赤ちゃんを感染症から守るために大切ですが、まずは定期接種から計画的に進めていくことが一般的です。
主な定期接種の種類と接種時期の目安
赤ちゃんの定期接種は、生後2ヶ月頃から始まります。複数のワクチンを決められた間隔で複数回接種していく必要があるため、計画的なスケジュール管理が大切です。
以下に、主な定期接種の種類と一般的な接種時期の目安をまとめました。
- ヒブ感染症（Hib）： 生後2ヶ月から
- 小児用肺炎球菌感染症： 生後2ヶ月から
- B型肝炎： 生後2ヶ月から
- ロタウイルス感染症： 生後2ヶ月から（生ワクチンで飲むタイプのワクチンです。対象となるワクチンによって接種回数や期間が異なります）
- 四種混合（DPT-IPV：ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ）： 生後3ヶ月から
- BCG（結核）： 生後5ヶ月から8ヶ月未満
- MR（麻しん・風しん）： 1歳から
- 水痘（水ぼうそう）： 1歳から
- 日本脳炎： 3歳から（最初の接種は3歳ですが、赤ちゃんの時期に計画を立て始めることもあります）
これらのワクチンは、それぞれ決められた回数と間隔で接種する必要があります。特に、生後早い時期に複数回の接種が必要なものが多いです。
スケジュール管理のポイント
初めての予防接種で最も戸惑いやすいのがスケジュール管理かもしれません。複数のワクチンを決められた時期に、決められた間隔で打つ必要があります。
- 情報源を確認する： 出産後に市区町村から予防接種に関する案内（予防接種予診票綴りなど）が届きます。ここに、接種できるワクチンの種類、対象期間、実施場所などが記載されていますので、まずはお手元のもので確認しましょう。
- かかりつけ医を決める： 予防接種や日頃の体調管理をお願いできる小児科医を早めに見つけておくと安心です。かかりつけ医と相談しながら、一人ひとりの赤ちゃんに合った無理のないスケジュールを立てることができます。
- 同時接種について： 近年では、複数のワクチンを同じ日に接種する「同時接種」が一般的になってきています。同時接種は、接種回数を減らし、赤ちゃんが早期に複数の病気に対する免疫をつけることができるというメリットがあります。安全性についても確認されていますが、不安な点があれば医師に相談しましょう。
- 接種間隔を守る： ワクチンによっては、次の接種まで一定の間隔を空ける必要があります。間隔が短すぎると十分な免疫がつかなかったり、長すぎるとワクチンの効果が弱まってしまったりする場合がありますので、指示された間隔を正確に守ることが重要です。
自治体から提供される情報や、予防接種に対応している医療機関のウェブサイトなどを参考に、計画を立ててみましょう。
接種を受けるまでの流れと当日の注意点
予防接種を受ける一般的な流れは以下のようになります。
- 情報収集と計画: 自治体からの案内やインターネットなどで情報を集め、かかりつけ医と相談しながら接種するワクチンと時期を決めます。
- 医療機関の選択と予約: 予防接種を実施している医療機関を選び、予約をします。予約方法（電話、ウェブなど）は医療機関によって異なります。
- 準備: 接種当日は、体温を測り、予診票に記入します。母子健康手帳と予診票は必ず持参してください。赤ちゃんの体調が良いことを確認しましょう。
- 受診と接種: 医療機関で、医師による問診と診察を受けます。体調に問題がなければ接種となります。
- 接種後の待機: 接種後は、副反応（発熱や腫れなど）の可能性に備えて、多くの場合、医療機関で15分から30分程度待機します。
接種当日の注意点:
- 赤ちゃんの体調が良い日を選びましょう。発熱している場合などは接種できません。
- 予診票は、自宅で保護者が責任を持って記入してください。
- 服装は、接種しやすいように肩が出せるものがおすすめです。
- 接種後も、特に当日は赤ちゃんの様子をよく観察しましょう。
接種後の注意点
予防接種の後、赤ちゃんに発熱や接種部位の腫れ、赤みといった副反応が見られることがあります。多くは一時的なもので、数日で自然におさまります。
- 赤ちゃんの様子を観察する： 接種後も、機嫌、ミルクの飲み具合、体温などに変化がないか注意深く見守りましょう。
- 入浴について： 接種当日の入浴は可能ですが、接種部位を強くこすらないようにしましょう。
- 気になる症状があれば相談する： 高熱が続く、接種部位の腫れがひどい、けいれんが起きたなど、気になる症状が見られた場合は、接種を受けた医療機関やかかりつけ医にすぐに連絡して相談してください。
副反応は誰にでも起こりうるものですが、多くの赤ちゃんは無事に接種を終えることができます。過度に心配しすぎず、落ち着いて対応することが大切です。
まとめ：赤ちゃんを守るための大切な一歩
初めての赤ちゃんの予防接種は、その種類やスケジュールの複雑さから、少し大変に感じられるかもしれません。しかし、一つ一つの予防接種は、お子様を様々な感染症から守るための大切なステップです。
市区町村からの案内をよく確認し、かかりつけ医と相談しながら、一つずつ準備を進めていきましょう。分からないことや不安なことがあれば、遠慮なく医師や保健師に質問してください。
予防接種を計画的に受けることで、赤ちゃんは感染症に対する免疫をしっかりとつけていくことができます。これは、お子様の健やかな成長を見守る上で、親御さんから贈る大切なプレゼントの一つとも言えるでしょう。
少しずつ、安心して予防接種の準備を進めていってください。応援しています。